【読書術】紙の本好きがAudibleを使ってみた 欠点からおすすめまで
もともとは一意専心して行うはずだった読書。それを手軽に耳で楽しむ時代が訪れようとしています。 その時代を牽引しているのは今やおなじみの大手ショッピングサイトAmazonAmazonのルーツはオンライン書店だった、ということもあり新しい読書の形を提示する事にとりわけ注力している印象が強いですね。 そんな同社は電子書籍であるkindleに次いで、オーディオブックサービスのAudible(オーディブル)を日本でも展開しはじめました。 Amazon信者であり、読書の趣味を持つ私は試さずにはいられませんでしたが、生粋の「本は紙派」のしづき。 この記事はAmazonも読書も好きだけど本は電子書籍すら邪道と考える私がAudibleを使ってみた感想を良い事悪い事全てひっくるめてご紹介する事とします。 Audibleの仕様やおすすめのオーディオブックも紹介しておりますので、どんなものかをご存じでない方も気軽にお付き合い頂ければ幸いです。
さてと
読書したことないけど、新しい時代がはじまったんだね。

Audibleとは

前述したとおり、Audibleとはオーディオブックサービスのひとつです。 オーディオブックとは既に出版されている書籍をプロのナレーターが読み上げ音声ファイル化した、いわば耳で聴く書籍のことをいいます。 まずはAudibleがどういうものなのか、大きな特徴から見て行きましょう。
Audibleの大きな特徴

・出版されている書籍をプロのナレーターが読み上げる

・初月無料の月額会員制で、月に1冊好きな本が無料で買える。

・絵本からビジネス書まで、幅広いジャンルの本を取り揃えている

・会員限定の聴き放題のコンテンツも用意されている。

これらの詳細は次項「Audibleのシステム」にて詳しく解説しますが、今までの読書とは異質のものであることは特徴を見るだけでも明らかです。 日本では2015年からAudibleのサービスを展開していますが、Amazonがその存在をPRし始めたのはついここ最近の事と言って良いでしょう。 新しい文化ともいえる聞く読書を、何故5年近く積極的にPRしてこなかったのでしょうか? 答えは明白。このコンテンツの性質上、書籍を1冊1冊読み上げるのに時間がかかる上に、月額会員制の形を取ろうとすると、ある程度の蔵書量が無くては顧客満足度が低くなる恐れがあります。 顧客第一主義のAmazonがこれだけ時間をかけたコンテンツ と考えると、とても期待してしまいますね。

Audibleのシステム

料金システムから無料体験プログラム、実際のアプリ画面などを交えて説明します。 システムと言っても、実際に複雑なのは料金システムやコインシステムだけで、使用感はユーザー目線でとてもシンプルに設計されているため、軽い気持ちで読んで頂ければ幸いです

料金

Audibleは月額1500円の月額会員制で、支払い方法はクレジットカードのみです。 会員登録をしていると月に一度、オーディオブックとの引換券であるコインが付与されます。 月に1冊無料で読めるというのは「コインとオーディオブックを引き換えられる」という意味ですが、もっと正しいニュアンスでお伝えすると月額1500円でコイン1枚と会員権が貰えると言うべきでしょう。 いわゆるビジネス書1冊の相場が大体1500円ですので、この月額が高いか安いかは意見が分かれるものだと思います。 ちなみに当月使わなかったコインは来月に持ち越されますのでご安心ください。 コイン以外でも非会員価格から30%引きされた値段でオーディオブックを購入する事ができます。 しかし、非会員価格のオーディオブック単品の値段は、紙の本で買った場合の1.5倍~2倍の値段が設定されており、コストパフォーマンスが低いためあまりおすすめできません。
しづき
引き換えたオーディオブックは返品可能ですので、併せてご安心ください!

無料体験プログラム

初回登録時は30日間無料で月額会員と同じサービスを受ける事が可能です。 登録と同時にコインが1枚付与され、会員限定の聴き放題コンテンツも楽しむことができます。 当然ですが、よくわからないサービスに月額会員登録しようと思いませんよね。 その点Audibleは納得した上で継続するか否かを判断できるので、とても誠実なシステムだと思います。 さらに、無料体験中に解約しても、コインと引き換えたオーディオブックはいつでも聴けるという大盤振る舞い。 解約した後に後ろ髪を引かれそうですが、いつ聴いても良いのは素直に嬉しいですね。 AudibleはAmazonのアカウントがあればとても簡単に登録できますので、試すだけ試してから判断するのも大いにアリだと思います。 しかし、解約手続きをしなければ自動で契約更新になる点は注意が必要です。
さてと
普通の会員とおなじ特典を受けられるのは嬉しいね。

操作

Audibleはながら作業のシチュエーションで使う事が想定されており、その操作性もシンプルかつ分かりやすいものとなっています。 そんな操作性ですので一番シンプルな「ながら」である運転中にAudibleを楽しむ機会があるかもしれませんが、運転中の操作はくれぐれもお気を付けください。 実際の再生画面を基に、どんな感じの操作性で、何ができるかを見てみましょう。
赤い文字は筆者注
①再生/一時停止 ②30秒戻す/30秒送る ・・・聞き逃しやすいという特性を持つオーディオブックには、特に30秒戻す機能を重宝します。 ③前の見出しへ/次の見出しへ ・・・総集編を聞く際など、次のタイトルに頭出しする時に特に使います。 ④再生速度 ・・・0.5倍速から3.5倍速まで設定できます。語学のリスニングや時間短縮に役立つ機能です。 ⑤目次 ・・・見出しの一覧を表示し、選択する事でその項までの頭出しをしてくれます。 ⑥スリープタイマー ・・・指定した時間、区間で再生を自動的に止めてくれる機能です。 ⑦ブックマーク ・・・現在再生中の時間をお気に入りに登録し、その地点から再生できるようにする機能です。 この他にもAudibleでオーディオブックを再生中には、スマホの通知欄にミニメニューが出てきます。 左からの順に、 ・30秒戻す ・再生/一時停止 ・ブックマーク とシンプルな操作性ですが、再生中はミニメニューで操作する事が比較的多いため、併せてご留意頂ければと思います。

Audibleを使ってみた所感

冒頭にも書きましたが、私は比較的Amazon信者読書が好き新しいモノ好きです。 そんな背景からAudibleには割とハマりそうだなと、視聴前の私は思っていました。 しかし、1冊目を聴き終わる頃に素直に感じたのはこれは使いどころがちょっと難しいでした。 もちろん聞いているうちは面白かったですし、ながら作業中にも時間を有意義に使えた実感もあります。 我ながら両極端な感覚ですが、何が良くて何が難しかったのか説明させてください
さてと
いっつも「Amazon Amazon」言ってるのに・・・。

Audibleの良いところ

・両手両目がふさがっていても読書ができる

・普通に本を買うより安かったりする

・オフライン環境でも使える

両手両目がふさがっていても読書ができる。

なんといっても、オーディオブックの最大の強みは作業をしながら読書ができる点にあります。 最近の勉強の仕方は本から動画に変わりつつありますが、どれだけ時代が変わろうと目で見て勉強する事には変わりがありませんでした。 昆虫の複眼でもありませんし、視力というリソースを効率的に使うにはどうしても1つの作業に集中してしまします。 両手両目を使わず、聴覚ひとつでできる読書はシンプルにそれだけでものすごい価値があります。
さてと
おかげで初読書できたよ。文字は読めないけど。

・普通に買うより安かったりする。

2点目は、普通に紙の書籍を買うより、安くたくさん本を聴く事ができる場合がある点です。 先に述べた「単価が普通の書籍の2倍」という表現もあり、オーディオブックは高価なものという認識をされる方もいらっしゃるかもしれません。 しかしそれはあくまでも非会員向けの価格が強気なだけであり、使用方法によっては書籍より長く、安く楽しめることは間違いありません。 具体的にいうと、4,5冊がパッケージ化されたセット本をコインで引き換えたり、全編集を引き換える事が高コストパフォーマンスです。 自分が読みたい「本」というピンポイントな需要は満たせませんが、読みたい「ジャンル」という広い需要にシフトすることにより、お得になるという考え方ですね。 普段選ばないようなタイトルも内包している可能性が高いので、かえって本に対する裾野が広がるかもしれません。
しづき
次月はセット本を試してみるつもりです。楽しみ。

・オフライン環境でも使える

3点目は、オフライン環境でも使えるという点です。 前時代的かもしれませんが、オフライン環境下でも使えるということは意外とストレスフリーなんですよ。 例えば運転中や地下鉄に乗車中、トンネルに入っても音声は途切れませんし、 通信制限がかかってしまった場合でも、あらかじめWi-Fi環境でダウンロードしておけば変わらず再生できます。 果ては機内モードにしなければならない航空機内でも楽しむことができます。 もっとも、その場合には普通に本を読めたりするのですが。 聞ける環境とスマホの充電があれば利用できるのはシンプルに強みですね。
さてと
あと、データを取っておくだけだからかさばらないのも魅力的だよね。

Audibleの良くないところ

・結局集中しないと理解できない

・声で聴くためどうしてもナレーターの感情が入ってしまう

・普通に読むより時間がかかる

さて、問題のあまり良くない点です。

・結局集中しないと理解できない

ここまで何度も書いてきた「ながら作業で読書ができる強み」の根幹を揺るがすデメリットが結局集中しないと理解できないという点です。 特にオーディオブックでビジネス書を聴いていると感じる事ですが、現在読まれている行と2.3行前の文章の相関関係を見失ってしまいがちです。 紙の本や電子書籍ではそもそも文章の主語、述語等の関係性を見失う事も少ないのですが、集中が切れ、見失ってしまった際も一目戻せば確認できますよね。 Audibleでは、30秒戻す機能がありますが狙った箇所で止められるものではないため、必要のない部分も聞かなければいけないのがネックです。 対処法としては、時間はかかりますが同じタイトルを反復して聞く事でしっかり理解できる感覚はありました。 読まれている文章を聞く、という行為は極めて受動的な行為であり、自分のペースで本を読むのとはかけ離れているものだと感じました。 本当に単純な作業中にはうってつけですが、頭を使う作業の時はあまりおすすめできません
さてと
単純にしづきがダメなだけじゃない?

・どうしてもナレーターの感情が入ってしまう。

2つ目は、ナレーターの感情が入ってしまうという点です。 オーディオブックの特性上どうしても仕方がない事ではありますが、思いのほか気になりました。 文章を目で見て読む場合では淡々と綴ってある内容を、頭の中で抽象的なイメージを膨らませ、反芻し、具体的な理解を得る・・・と言う感覚があります。 一方でオーディオブックで聞く場合は抽象的なイメージを作り上げる必要が無く、声色に内包された感情(ノンバーバルコミュニケーション)をもって文章が読み解けてしまうため、考えるというプロセスが省かれてしまい、結果的に頭に入ってこないということがありました。 本の読み方には個人差がありますので、一概にデメリットと断言するようなことでもない気もしますが。
さてと
ハウツー本とかでなければわかりやすい事も全然多いよ。

・普通に読むより時間がかかる

3点目はシンプルに時間がかかるということです。 声で読み上げる分、書籍を普通に読むより時間がかかる事は言うまでもありません。 しかし、なにかをしながらオーディオブックを聞く場合、作業中に読書ができると思えば時間がかかったとしても特段問題はないでしょう。 ここで思い出されるのは結局集中しないと頭に入ってこないということです。 人間の脳は本来マルチタスクができるように設計されていないため、いずれかに集中してしまうと一緒にしている作業の効率が落ちる可能性すらあります。 一緒にできる作業を選定しなければ、作業の生産性を落とし、内容も覚えてないという無為な時間を過ごしてしまう事が懸念されます。 オーディオブックだけを楽しむのなら「本を読んだ方が早い」という意見もあり、使うシチュエーションが限られるというのは大きなハンディキャップと言えるでしょう。
さてと
オーディオブックを単体で聴くイメージがあまりみえないね。

おすすめのオーディオブック

前項ではAudibleのちょっと難しい面もご紹介しましたが、そんな難しさを逆手にとって面白さにしたようなタイトルや、むしろオーディオブックの方が捗るのではないか、という数珠のタイトルを集めました。 まずはこのタイトルからAudibleを試してみる!というのも全然アリだと思います。

嫌われる勇気/幸せになる勇気

いまや知らない人はいないであろう、あの大人気ベストセラーが耳でも楽しめます。 私も例に漏れず大好きな作品ですので、2、3回は本で読みましたが耳で聞くとまた違う趣きがありますね。 ビジネス書、啓発書にしては珍しい対話形式をとった文章ですので、Audibleのデメリットとして挙げた「ナレーターの感情が入ってしまう」という事がメリットになりました。 多少説明文っぽく、長文ではありますが、耳で聞くドラマと言っても差し支えないでしょう。 是非、アドラーの教えを耳でも楽しんでください。 嫌われる勇気 /幸せになる勇気 Audible版

あのアニメの原作を耳で楽しむ

Audibleにはもちろん小説やライトノベルのラインナップも充実しています。 以前からライトノベルが原作のアニメは多々ありますが、実はアニメではカットされているシーンがある事多かったりするのは、原作を読んだ人にしかわかりませんよね。 Audibleではアニメ版で声優を担当されている方がナレーターとして読み上げている作品もあり、アニメから入った方でも気軽に原作を楽しめちゃいます。 例えばコミカライズもされていて、長い間人気の作品「転スラ」ならリムル役の岡咲美保さんがナレーターを担当されていますし、「このすば」ならめぐみん役の高橋李依さんが担当されています。 これは原作を普通に本で読んでも味わえない楽しみの一つであることは間違いありません。 この機にあの原作を耳で楽しんでしまいましょう。 転生したらスライムだった件1 (GCノベルズ)

宮沢賢治童話全集

個人的に宮沢賢治氏の作品は耳で聞いた方がわかりやすいと思います。 頭の中に星空を散りばめるような綺麗な表現や、その独特なまでに美しい言葉遣いは文章で読むと咀嚼に時間がかかります もっともそのような文章の美しさに理解を深めるところが純文学の面白さだったりするんですが、それでも「名前だけ知っている」よりは是非作品の面白さにわかりやすく触れて頂きたいと思いました。 ちなみに全部読んだ訳ではありませんが、私はいまのところカイロ団長が一番お気に入りの作品です。 宮沢賢治童話全集は1コインで34時間聞けるため、色々な場面でたっぷり楽しむことができ、コストパフォーマンスがものすごい高いのも嬉しいですね。 宮沢賢治童話全集

絵本の読み聞かせ集

読み聞かせに関するメディアはCDなどでもずっと前からありました。 最近ではYouTubeでもたくさん読み聞かせの動画がアップロードされているくらいです。 確かに読み聞かせの音声を流す事難しくありませんが、Audibleならもっと便利に読み聞かせに触れる事ができます。 まず、オフラインかつ、バックグラウンドで再生できますので、親御さんがスマホを使っている間でもお子様は読み聞かせを楽しむことが可能です。 お子様が気に入ったお話は通知欄を開き、ブックマークボタンを押すだけで簡単に保存でき、そのお話をすぐに再生できるようになります。 そして、1話約5分なのでおやすみ前にも区切りをつけやすいのも魅力的です。 総再生時間は約11時間と、1コインでずっと楽しめるので家計にも優しいという特徴もあります。 お話、きかせて! 聴く絵本 おやすみまえのよみきかせ ベスト100

おすすめの聴き放題コンテンツ

20分で聞けるビジネス書チャンネル

ビジネス書1冊が20分に要約されているため、普段あまり関心のないジャンルにも広く触れる事ができます 普段勉強する時間がない方も、20分と言う時間であれば通勤・通学中に聴く事により、手軽にアンテナを増せる事が魅力です。 要点がきちんと押さえられており、1冊を通して著者が主張したいことが簡潔に示されているので聞きながら作業する事にそこまでの集中力を要しませんでした。 内容も構成も秀逸なだけに、不定期更新であることが少し残念です。
しづき
これが無料なのは、嬉しいです!有料でも定期的に聴きたさは否めませんが・・。

よしもと芸人シリーズ

Amazonプライムビデオでは松本人志氏のドキュメンタルシリーズが大人気ですよね! 私も昨年末に一気見した程度にはハマりまして、続きを楽しみにしている次第です。 そんな繋がりでしょうか。Audibleにもよしもと芸人のチャンネルがあり、小説やビジネス書とは違うベクトルの面白さを演出しています 特におすすめなのがよしもと音声研究所シリーズ。 このシリーズでは、千鳥やロバート、ジャルジャルと言った人気芸人グループがコントやロケ風景を音声で映えるような構成で展開しており、テレビよりも手軽に笑える魅力があります。 さしずめ鮮度の高いラジオのバックナンバーと言ったところでしょうか。

まとめ

他のオーディオブックサービスとの比較もしてみたかったのですが、想定よりボリュームが増えてしまいましたのでまた別の機会にさせて頂きますね。 個人的には読書をするならやはり紙の本が好きだなあという結論に落ち着いてしまいましたが、読書とは全くの別物のコンテンツと言う認識で利用した方が面白いと思いました。 コンテンツとしてはしっかり面白いものですので、オーディオブックを使うタイミングの開拓はAudibleを始めとしたサービス全般にいえる課題だと感じます。 今後も利用していこうと考えていますので、おすすめのオーディオブックやチャンネルを発掘した時にはTwitterや記事で共有させて頂きますね! 初回であれば30日間は無料ですので、よろしければこの機会に是非Audibleを試してみてください。 ブログランキング・にほんブログ村へ ↑よろしければクリックして投票をお願いします!
おすすめの記事